住宅宿泊事業法による住宅宿泊民泊とは
 《 住宅宿泊事業法の概要 》
 《 住宅宿泊事業と住宅宿泊事業者とは 》
 《 住宅宿泊事業対象となる住宅と設備・居住要件・留意点》
 《 条例による住宅宿泊事業の実施の制限 》
  ● 住宅宿泊(民泊ホスト)・住宅宿泊管理・住宅宿泊仲介業者数
  ● おわりに
  参考 「空き部屋民泊に関する意識調査」 
 
   《 住宅宿泊事業法の概要 観光庁》

   背景・必要性
     ○ ここ数年、民泊サービスが日本でも急速に普及
     ○ 多様化する宿泊ニーズ等への対応
     ○ 公衆衛生の確保や地域住民等とのトラブル防止、無許可で
       旅館業を営む違法民泊への対応 等

 

   概要

1.住宅宿泊事業者に係る制度の創設

① 都道府県知事への届出が必要
  (年間提供日数の上限は180日(泊)とし、地域の実情
  を反映する仕組みの創設)

 
② 住宅宿泊事業の適正な遂行のための措置(衛生確保措置、
  騒音防止のための説明、苦情への対応、宿泊者名簿の作成
  ・備付け、標識の掲示等)を義務付け
  

       ・宿泊者名簿の正確な記載。
       ・フロントの設置
        10人未満の場合下記の条件が備えれば、設置は不要
        ○ 宿泊者の事故・緊急時に、その求めに応じて、通
          常おおむね10分程度で職員等が駆けつけること
          ができる体制であること。
        
○ 鍵の受け渡しがスムーズにできる
     
   ※ 宿泊させる部屋が6室以上の場合は、住宅宿泊管理業者に委託
     することが義務付けられる。

 
③ 家主不在型の場合は、上記措置を住宅宿泊管理業者に委託
  することが義務付けられる。

   ※ 住宅宿泊事業者が住宅宿泊管理業者であって,自ら
    届出住宅の管理業務を行うときは委託は不要となり
    ます。

④ 都道府県知事は、住宅宿泊事業者に係る監督を実施

  ※都道府県に代わり、保健所設置市(政令市、中核市等)、
   特別区(東京23区)が監督(届出の受理を含む)・条例
   制定措置を処理できる

 

 2.住宅宿泊管理業者に係る制度の創設

① 国土交通大臣の登録が必要

② 住宅宿泊管理業の適正な遂行のための措置(住宅宿泊
  事業者への契約内容の説明等)の実施と1.②の措置
  (標識の掲示を除く)の代行を義務付け

③ 国土交通大臣は、住宅宿泊管理業者に係る監督を実施

 

 3.住宅宿泊仲介業者に係る制度の創設

① 観光庁長官の登録が必要

② 住宅宿泊仲介業の適正な遂行のための措置

   (宿泊者への契約内容の説明等)を義務付け

③ 観光庁長官は、住宅宿泊仲介業に係る監督を実施

 

     ○ 公布   平成29年6月16日    
     
○ 施行期日  平成30年6月15日


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  《 住宅宿泊事業と住宅宿泊事業者とは 》
 

【住宅宿泊事業とは】
  旅館業法第3条の2第1項に規定する営業者以外の者が宿泊料
  を受けて住宅に人を宿泊させる事業であって、人を宿泊させる
  日数が1年間で180日以内とする。

 住宅宿泊事業を実施することができる「住宅」は、台所、浴
室、便所、洗面設備が備えられた施設。
 また、居住要件として、現に人の生活の本拠として使用され
ていること、入居者の募集が行われていること、随時その所有
者、賃借人又は転借人の居住の用に供されていること。

○ 詳しくは対象となる住宅を参照 


  【住宅宿泊事業者とは】
 
    届出をして住宅宿泊事業を営む者をいいます。

 

 《事業を開始するためには?》

   ● 届出をする
    住宅宿泊事業を営もうとする者は、都道府県知事等に当該事業を
    営む旨の届出をする必要がある。また、届出の際、入居者の募集
    の広告等住宅が居住要件を満たしていることを証明するための書
    類、住宅の図面等を添付することとしている。

○ 詳しくは届出・登録等に必要な情報、手続きの流れを参照 

 

【住宅宿泊事業者の業務】

  住宅宿泊事業者は、住宅宿泊事業の適正な遂行のために下記の措置等
  をとる必要がある。

 

  (1)宿泊者の衛生の確保について
    
1)居室の床面積は、宿泊者1人当り3.3㎡以上を確保すること
    2)清掃及び換気を行うこと

   ※「旅館業における衛生等管理要領」も参考にしてください。

  (2)宿泊者の安全の確保について
      住宅宿泊事業者は、下記の事項について行う必要がある。
      1)非常用照明器具を設けること
      2)避難経路を表示すること
      3)火災その他の災害が発生した場合における宿泊者の安全
      の確保を図るために必要な措置を講じること


  (3)外国人観光旅客である宿泊者の快適性及び利便性の確保につ
     いて住宅宿泊事業者は、宿泊者に対し、下記の事項を行う必
     要がある。
   1)外国語を用いて、届出住宅の設備の使用方法に関する案
     内をすること

   2)外国語を用いて、移動のための交通手段に関する情報を
     提供すること

   3)外国語を用いて、火災、地震その他の災害が発生した
     場合における通報連絡先に関する案内をすること


  (4)宿泊者名簿について
     住宅宿泊事業者は、宿泊者名簿の備付け、下記の事項につ
    いて行う必要がある。

     1)本人確認を行った上で作成すること
    
2)作成の日から3年間保存すること
     3)宿泊者の氏名、住所、職業及び宿泊日を記載すること
     4)宿泊者が日本国内に住所を有しない外国人であるとき
     は、その国籍及び旅券番号を記載すること


(5)周辺地域への悪影響の防止について
    住宅宿泊事業者は、宿泊者に対し、下記の事項について書面
   の備付けその他の適切な方法により下記の事項について説明
   する必要がある。

1)騒音の防止のために配慮すべき事項

2)ごみの処理に関し配慮すべき事項

3)火災の防止のために配慮すべき事項


   (6)苦情等への対応について
      住宅宿泊事業者は、届出住宅の周辺地域の住民からの苦情及
    び問合せについては適切かつ迅速に対応しなければならない。

 
    ※(1)~(6)について、詳しくは事業者の業務[1]を参照

   (7)住宅宿泊管理業者への委託について
      住宅宿泊事業者は、以下の場合には、上記(1)~(6)の措
    置を住宅宿泊管理業者に委託しなければならない。


       1)届出住宅の居室の数が5を超える場合
       2)人を宿泊させる間、不在(※)等となる場合
    (※)日常生活を営む上で通常行われる行為に要する時間の範
       囲内の不在は除く


  ○ 詳しくは管理業務の委託を参照 


   (8)住宅宿泊仲介業者への委託について
       住宅宿泊事業者は、宿泊サービス提供契約の締結の代理又は
     媒介を他人に委託するときは、登録を受けた住宅宿泊仲介業
     者又は旅行業者に委託しなくてはならない。 


   (9)標識の掲示について
       住宅宿泊事業者は、届出住宅ごとに、見やすい場所に、標識
     を掲げなければならない。 


  10)都道府県知事への定期報告について
       住宅宿泊事業者は、届出住宅ごとに、毎年2月、4月、6月、
     8月、10月及び12月の15日までに、それぞれの月の前2
     月の下記の内容について都道府県知事等に報告しならない。

1)届出住宅に人を宿泊させた日数

2)宿泊者数

3)延べ宿泊者数

4)国籍別の宿泊者数の内訳

   定期報告は電子システムを利用して行うことができます。

(8)~(10)について、詳しくは事業者の業務[2]を参照

   ● 国の民泊制度システムの概要
     ○ 届出・登録、定期報告の手続を電子化するとともに、
               届出等の情報を関係行政機関で共有。
 
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   《 対象となる住宅と設備・居住要件・留意点》
   
  【「住宅」とは】

住宅宿泊事業を実施することができる「住宅」は、設備要件と居住要件を満たしていることが必要です。

 

【設備要件とは】

◆ 必要な設備

届出を行う住宅には「台所」「浴室」「便所」「洗面設備」の4つの設備が設けられている必要があります。

◆ 設置場所

必ずしも1棟の建物内に設けられている必要はない。

同一の敷地内の建物について一体的に使用する権限があり、
各建物に設けられた設備がそれぞれ使用可能な状態であれ
ば、これら複数棟の建物を住宅宿泊事業者「住宅」として
届け出ることが可能。

 

◆ 公衆浴場等による代替はできない

これらの設備は、届出住宅に設けられている必要があり、
届出の対象に含まれていない近隣の公衆浴場等を浴室等と
して代替することはできない。

 

◆ 設備の機能

・これらの設備は、必ずしも独立しているものである必要
 はなく、一つの設備に複数の機能があるユニットバス等
 も認める。

・また、これらの設備の浴室については、浴槽が無くても
 シャワーがあれば足り、便所については和式・洋式は問
 わない。

  【居住要件とは】


 対象となる家屋

   届出を行う住宅は、次のいずれかに該当する家屋である必要
   があります。

(1)「現に人の生活の本拠として使用されている家屋」

「現に人の生活の本拠として使用されている家屋」とは、現
に特定の者の生活が継続して営まれている家屋です。

 「生活が継続して営まれている」とは、短期的に当該家屋
を使用する場合は該当しません。

(2)「入居者の募集が行われている家屋」

「入居者の募集が行われている家屋」とは、住宅宿泊事業
を行っている間、分譲(売却)又は賃貸の形態で、居住用
住宅として入居者の募集が行われている家屋。


 ただし、広告において故意に不利な取引条件を事実に反
して記載している等、入居者募集の意図がないことが明ら
かである場合は、「入居者の募集が行われている家屋」と
は認められない。

(3)「随時その所有者、賃借人又は転借人の居住の用に供されて
   いる家屋」

・「随時その所有者、賃借人又は転借人の居住の用に供され
 ている家屋」とは、生活の本拠としては使用されていない
 ものの、その所有者等により随時居住利用されている家屋。

・当該家屋は、既存の家屋において、その所有者等が使用の
 権限
を有しており、少なくとも年1回以上は使用している
 家屋であり、居住といえる使用履歴が一切ない民泊専用の
 新築投資用マンションは、これには該当しない。


  随時居住の用に供されている家屋の具体例 》

・別荘等季節に応じて年数回程度利用している家屋

・休日のみ生活しているセカンドハウス

・転勤により一時的に生活の本拠を移しているものの、将来
 的に
再度居住するために所有している空き家

・相続により所有しているが、現在は常時居住しておらず、
 将来
的に居住することを予定している空き家

・生活の本拠ではないが、別宅として使用している古民家

     ◆ その他の留意事項


・一般的に、社宅、寮、保養所と称される家屋についても、
 その使用実態に応じて「住宅」の定義に該当するかを判断
 する。


・「住宅」とは、1棟の建物である必要はなく、建物の一部
 分のみを住宅宿泊事業の用に供する場合には、当該部分が
 法第2条第1項に規定する「住宅」の要件を満たしている
 限りにおいて、当該部分を「住宅」として届け出ることが
 できる。


・本法において、住宅宿泊事業に係る住宅については、人の
 居住用に供されていると認められるものとし、住宅宿泊事
 業として人を宿泊させている期間以外の期間において他の
 事業の用に供されているものは、国・厚規則第2条柱書
 おいて本法における住宅の対象から除外する。

 

(参考)国・厚規則第2条柱書

人の居住の用に供されていると認められる家屋として、
国土交通省令・厚生労働省令で定めるものは、(中略)
事業(人を宿泊させるもの又は人を入居させるものを除
く。)の用に供されていないものとする。

  条例による住宅宿泊事業の実施の制限 》

  

 都道府県等は、住宅宿泊事業に起因する騒音の発生その他の
 事象による生活環境の悪化を防止するために必要があるとき
 は、合理的に必要と認められる限度において、政令で定める
 基準に従い条例で定めるところにより、区域を定めて、住宅
 宿泊事業を実施する期間を制限することができる。

 

 参考:都道府県別 住宅宿泊事業実施の制限条例案
    (2018年5月7日現在)  
   作成 NPO法人ふれあいまちむら興し塾 wordファイル
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  ● 住宅宿泊(民泊ホスト)・住宅宿泊管理
                ・住宅宿泊仲介業者数
   ◆ 住宅宿泊事業者(民泊ホスト) 観光庁 
     2018年10月14日現在

 

届出提出件数

うち受理済み

 都道府県

,408件

,915件

 保健所設置市

,277件

,688件

 特別区

,585件

,156件

合 計

10,270件

,759件

 

登録申請件数

うち登録済み

 住宅宿泊管理事業者
 (民泊運営代行会社)

,352件

,262件

 住宅宿泊仲介業者
(Airbnbなど)

63件

51件

    ◆ 特区民泊の居室数(エリアごと認定件数)が8月31日時点 
        内閣府9月26日現在

大阪市

,195施設

,481室

大田区

75施設

419室

大阪府

10施設

17室

北九州市

2施設

2室

千葉市

1施設

1室

新潟市

1施設

1室

合 計

,284

,921室


   なお大阪市単体で申請件数は1,410施設4,011室で全体に占
  める割合は9割にもなり、特区民泊は大阪市に集中していることが
  わかる。

   一方で、北九州市や千葉市、新潟市などは数か月間にわたり1件
  も増えない状況が続いている。

    特区民泊の認定件数は前月比15%増のペースで増えており、現状
  のペースで増加した場合、2018年の年末には約7,000件にまで
  増える見込み。


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 ● おわりに

   2020年のオリンピック・パラリンピックに向けて客室不足を解消する
  一環として、住宅宿泊事業法(民泊新法)が2018年6月15日から施
  行されるに伴い、いわゆる空き室民泊に不動産業界が飛びつき、Airbnb
  はじめ海外からも仲介業者が牽引役となり、静観していたJTBなどの旅
  行会社も参入し、コンビニなどの流通業界も巻き込み、部屋清掃など、管
  理代行管理業者等々が次々と参入し、まさに宿泊・不動産業界、旅行会社
  などとの激しい競争が始まりました。

   多くの自治体は、近隣住民への安心安全の配慮から、独自の規制条例を
  制定し、無認可の不法民泊に対する取り締まりの強化が打ち出され、ビジ
  ネスチャンスとばかり、意気込んだ不動産投資家からは、このような規制
  で縛られてはビジネスにならないと不満が出ています。

   大手仲介業者のAirbnbは正式施行の6月15日依然にネットには5万軒
  以上が掲載されていましたが、6月15日迄に登録していない受入先はサイ
  トから約35000軒が削除され、住宅民泊の存在が危惧注目されていま
  した。

   住宅宿泊民泊の登録受付が3月15日より開始され、観光庁の発表では
  10月14日現在で、全国での登録軒数は10,270軒となり、当初から
  毎月、確実に増え続け、今後の増加が注目されています。
  
   しかし、まだ各地で、無登録民泊が存在しており、各自治体も住民の生
  活が脅かされないように民泊営業の施設の管理、取り締まりを強化する方
  針で取り組みが始まり、既に京都府では摘発されたホストが出ています。

   今後の自治体がどのように対応するかが注視されます。

◎ 「家主在宅民泊」オーナー必見
  《 「農泊」推進組織との連携、交流を深め・地域活性化に貢献
 》
   不動産投資回収ビジネスでの家主不在での集客を目指す投資家は除き、
   家主在宅型での民泊の販売を目指すオーナーの誘客の目玉に、オーナー
   が得意とする、茶道、華道、陶芸、着物着付け、楽器演奏、野菜果物栽
   培&自慢料理作り、各種スポーツ等々のサークル活動を体験してもらう
   ことを、前面にアピールすれば、動機づけになるのは間違いありません。

   「一緒に「コト」プログラム体験しませんか」がキャッチコピイです。

   そして、そのプログラムを活用して、漁業家泊(農泊)の組織と連携し
   て、受入家庭不足解消の一員として仲間入りして、協働で民泊推進を図
   られたらいかがでしょうか。

    それは、単なる不動産投資目的の空き部屋民泊とは大きく異なり、よ
   り魅力的で価値ある差別化できるのは確実です。
   
   更に、農泊推進組織と連携して、一員になることで、多くの人たちとの
  が生まれ、地元の地域振興にも貢献でき、単なる所得向上だけでなく、受
  入に際して、喜び、充実感に結びつけられるものではないでしょうか。
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   ◆ 参考資料
「空き部屋民泊に関する意識調査」 インテージリサーチ調査
2018年3月調査 16歳~79歳 1万人(内民泊経験者5.9%)
ホスト不在型の近隣民泊に対する賛否 
賛成しない  32.6
あまり賛成しない 30.4
どちらともいえない  34.8
まあ賛成する  5.2
賛成する 1.2
    近隣での「ホスト在宅型」の民泊運営についても、
       「賛成しない」 43.1%。
       「賛成する」  17.3%
   となり、総じて民泊に否定的な人が多いことが判明した。
近隣の民泊運営に賛成するために必要なルール 
トラブルを起こした民泊施設の営業禁止 51.9
家主(管理人) が対面により宿泊者の本人確認を実施 37.0
周辺住民への民泊宮業の周知 32.9
ホスト不在型の民泊施設の禁止 32.7
周辺住民への脱明会の実施 25.4
ホスト不在型であっても家主や管埋者がすぐに到着できる場所に駐在 21.2
学校・保育所周辺での宮業禁止 19.2
平日の営業禁止 5.6
その他 0.7
どんな規制があっても賛成できない 33.8
 
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  NPO法人ふれあいまちむら興し塾 
     専務理事 長坂克巳     


    270-0034 松戸市新松戸3-222-203
     TEL 047-330-4421 FAX 047-344-1993

       E-mail: ls-plan@lapis.plala.or.jp 
    http://machimura-okoshijuku.com/
   http://www.honobono-taiken.net

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