ゆれている旅行業界−1
 
 2010年観光白書

 http://www.mlit.go.jp/hakusyo/kankou-hakusyo/h21/images/01.pdf 

  観光白書から見る 国内観光宿泊旅行者数の動き

 観光庁が6月11日に発表した2010年度「観光白書」によると、国内観光旅行
 (ビジネス兼も含む)での国民一人当たりの宿泊回数、泊数は1991年泊数
 3
.06泊、回数1.73回だったのが、年々減り続け、2009年の統計を見ますと、
 2
.42泊(91年対比79.08%)、1.50回(同86.70%)となり、減少傾向に歯止めが
 かからない状況です。

 若者(20歳〜29歳)の旅行離れに頭を痛めている旅行業界ですが、何と業界
 が最も熱い視線を送り続け、力を入れている60歳〜69歳のシニア層の回数が
 06年2
.18回から07年度1.86回(前年比85.32%)と大きな落ち込みとなってし
 まいました。

 
 観光白書から引用

〜若年層の国内宿泊観光旅行回数を20歳代前半・後半に分けて見ると、「0回」
(1年間に1度も国内宿泊観光旅行に行っていない)の割合は、20歳代前半で
41
.3%、20歳代後半で34.1%となっている。

 また、5年前と現在の国内宿泊観光旅行回数を比較すると、「0回」の割合は、
 この5年間において、20歳代前半で7
.8%、20歳代後半で14.1%増加してお
 り、回数別での増加幅が最も大きくなっている。〜

 ◎ 注目するべき 隠されいた数値
 

 ここで注目しなければならないのは、

 20歳〜29歳の回数、泊数の男女別の数値を並べて比較すると、男性の数値が
 極めて低いことが見受けられます。

  しかし、かたや女性の回数を見ると、07年度2.09回、08年は1.95回とシニア
 の回数より多くなっていることに気づいている方は少ないのではないでしょうか。 

 ⇒ ここに、厳しい低迷続きの宿泊動向の中でかすかな光明が見えます。

 ⇒ いわゆる、ターゲットはシニア層と共に20代の女性です。

 
 ◎ 落ち込んでいるといっても、嘆く必要はまったくありません

  観光白書の数値から

  国内観光旅行宿泊者回数1.5回×日本人口2億3千万人=3億4千5百万泊

  という数字になります。

  不況による低価格安定といわれていますが3億4千5百万泊もの需要が現存
  している
のですから、経営戦略の見直しをし、現在のお客様のニーズにあった
  対策をすれば、顧客になっていただけるチャンスは大いにあります。

※ 現代の旅行ニーズは次回に書かせていただきます。

 

■ 国内宿泊観光旅行の推移  観光白書より

1人当たり

15

16

17

18

19

20

宿泊数

2.81

2.78

2.89

2.72

2.42

2.31

回数平均

1.70

1.71

1.77

1.68

1.50

1.42

60〜69

2.00

2.31

2.30

2.18

1.86

50〜59

1.55

1.63

1.51

1.49

1.29

40〜49

1.55

1.34

1.39

1.51

1.34

30〜39

1.53

1.60

1.61

1.39

1.51

20〜29歳平均

1.67

1.49

1.67

1.63

1.56

男性

1.18

1.14

1.12

1.18

1.16

女性

2.16

1.85

2.22

2.09

1.95

 観光立国推進基本計画に定められた国民の国内観光旅行による1人当たりの
 宿泊数を平成22年度までに年間4泊にするという目標に対して、約6割の水準
 に低迷している。


 ◎ インバウンド対策

  国交省が躍起になっているインバウンド対策として2002年に始まったビット
  ジャパン構想では2010年までに1000万達成と目指したが、世界的な不

  況などの理由があげられていますが、09年度実績678万人(総宿泊人数
  1776万人:平均2
.62泊)と不況と円高傾向で1000万人には及びません
  でした。

  7月1日より中国人の中間所得層へのビザの発給が始まる。

  一気に中国人への期待が高まっている。旅行業界だけでなく、大歓迎のムー
  ドでデパート、電気専門店を筆頭に誘致向けての活動が全国的に広がりをみ
  せ始めています。

  09年度の訪日中国人はビジネスを含めて100万人。海外旅行をする中国人
  は4000万人といわれ、政府としては外国人を2016年までに2000万人

  目標としており、その内中国人を500万人までとしたいとしています。

  国内宿泊旅行者数が落ち込み続け具体的な打開策がみつからない中、イン
  バウンド客に熱い視線を寄せています。

◎ 日帰り客をいかに誘致するか

  残念ながら、観光白書には日帰り観光客の動向を示す統計、表記がまったく
  見あたりません。

  2009年3月28日に導入された期間限定でのETC1000円割引制度、
  2008年9月に始まったリーマンショック、 デフレの影響でとして、
宿泊者数
  の低迷が続いていますが、宿泊者数の減少と反比例して、各県別の観光客
  統計を検証すると、日帰り旅行者数の単価は下がり気味ですが、回数、消
  費額は上がっていることが明確です。

  高速道路におれるETCの割引制度、一部区間の無料化などの経済効果で
  1日の行動範囲が広がり、ますます日帰り旅行者数の増大が見込まれます。

  人件費・その他採算を考え、日帰りのお客様を対象としてこなかった旅館・
  ホテルも、付加価値をつけ、日帰りのお客様にも目を向けるべき時期にきて
  いるのではないでしょうか。

  旅行業界で注目されている着地型旅行を視野に、経営の方向の転換を図る
  ことが急務になっています。